クラッシュバンディクー4 とんでもマルチバースのレビュー
あの有袋類が再び…!
1990年代、PSで世界中に愛されたクラッシュバンディクーシリーズ。約20年ぶりに3の正統続編であるナンバリングタイトルが登場した。
※国内ではクラッシュバンディクー4 さくれつ魔神パワーが既にあるが、こちらは原産の北米版ではナンバリングがない全く別名になっているので、とんでもマルチバースが本当のナンバリングタイトルにあたる
極力ネタバレは避けますがレビュー自体がネタバレみたいなものなのでネタバレが嫌な場合は読まないほうがいいです。
先に言っておきますが、ご存知の通りクラッシュバンディクーシリーズはいわゆる死にゲーと呼ばれる高難易度の3Dアクションゲームで本作でも難しさは健在。
全然進めなくて怒りがたまりコントローラーを全力投球してしまう人には絶対オススメしません。
ゲームを語る前に一つ残念なお知らせが…。
クラッシュバンディクーといえば起動時のキャラクターによる開発会社の読み上げ、あのテーマ曲は一切ありません。正統続編であるからそのへんの細かいことに期待していたので非常に残念。
・ストーリー
3の隠しエンディング後から始まる。過去に飛ばされたネオ・コルテックス、エヌ・トロピーはなんやかんやで脱出。あらゆる時空を我が物にせんと動き始める。
一方で何やら異変を感じたクラッシュ一行は原因を探るために冒険へ出る…。
・アクションなど基本仕様
本作ではモダンとクラシックの2つのモードがあります。簡単に説明すると残機なしか残機ありかの違いです。
モダンは残機がない代わりに死亡するとデス数がカウントされます。
ステージに入る前なら好きな時に切り替えることができます。
死にすぎるとアクアク(ダメージを肩代わりするアイテム)を所持してリスポーン、チェックポイントの追加などの救済処置は本作でも健在。
アクションは前作に同様、ジャンプ、スピンアタック、スライディング、ボディプレスが行え、最初からダブルジャンプができます。ゲームを進めると後述する仮面が増えていくためか、ラスボスを倒すまでアクションの追加はありません。
新要素として着地地点に影(マーカー)が表示され着地地点の確認ができる。これにより着地を誤って奈落に落ちなくなるかもしれない。
またステージギミックとして壁走りやレーススライドといったアクションが追加されました。その代わりか、前作の飛行機とかバイクに乗ったステージはありません。
なお、スライディング直後にスピンすると前のめりの体勢でスピンするという小技がありましたが、本作で同じことをすると足払いの挙動でスピンします。
本作はリンゴがやりこみ要素に関わってくるためスピンで吹き飛ばすことはできません。箱を壊すと基本的に自動取得されます。シマ箱を踏み切る前に破壊したときだけ吹き飛ばしのSEが流れます。
プレイアブルキャラクターはクラッシュ、ココの他に、一部のステージでクラッシュの元カノのタウナ、過去作でボスだったディンゴダイル、宿敵のコルテックスでプレイすることになる。いずれも固有アクションが用意されている。
・ステージ
本作は2,3のような選択性ではなく、1と同様の一本道ですが、OPTIONSボタンからステージを選べるので前のステージに戻るのにマップを逆走する必要はありません。
ステージ数はボスステージを除いてもシリーズ最多の38ステージ。1ステージの長さも過去作よりも長め。更にステージを死なずに進むと途中で手に入るきおくのテープを入手して追加される隠しステージも21コースありボリュームもシリーズ最多です。
これでも多いのに通常、ボスステージにはあべこべモードがあります。
あべこべモードは左右反転されたいわゆる裏モードです。これならただの水増しではないか?と言われますがそんなことはありません。あべこべモードはステージ別に特殊なシチュエーションが追加されます。
クラッシュのシルエットしか映らないくらい真っ暗だが、スピンすることでエコーのような波長が広がり周囲の地形を把握しながら進んだり、色を失った世界がアクションを行うと飛沫が飛びステージに本来の色彩を与えたり、水中にいるかのような状態で動きも重くなったりと、クリアしたはずのステージなのに全く違う感覚で遊ぶことができます。
ステージ数がシリーズ最多ですから難易度は当然シリーズ最凶です!(ゲス顔)
ラスボス前のステージなんて休み無しで細かい操作要求されてコントローラー投げそうになりましたよ…
・4つの仮面
本作の物語のキーであり新しいアクションに関わってくる。ステージの特定のポイントで登場しその場所を通ると強制取得し能力を使えます。
仮面にはそれぞれ名前がありまあすがそれを忘れてしまいましたので各自で調べてください。
●水色の仮面
最初に見つける仮面。よく喋る。
能力は別次元に存在するオブジェクトを出したり隠したりする。対象のオブジェクトは半透明の水色で表示される。出すと水色のオーラのようなものを纏う。
当たり前だが、実態のない状態でクラッシュが重なっているところにオブジェクトを表示すると圧死扱いでクラッシュは死にます。
●紫色の仮面
2番目に見つける仮面。寡黙でとても重い。
能力はダークマタースピンという状態になる。前作の竜巻スピンの強化版と呼べる。
能力を発動するとものすごい勢いでスピンしだし高く、ゆっくりジャンプする。2弾ジャンプ可能で落下もゆっくり。スピン中は特定の敵に対してもひるまず、一部の攻撃を反射する。
特殊なスピンだがスピンであることに変わりはなく、TNT箱に触れると即爆破してしまう。開発もこれを知ってかこの仮面で進むパートには嫌がらせのようにTNT箱が配置されている。
●黄色の仮面
3番目に見つける仮面。おばあちゃん。
能力は自分以外の時間の流れを一定時間遅くするもの。高速で動く足場を悠々と超えたり、目にも留まらぬ速さの攻撃も止まっているかのようになる。ニトロ箱の起爆も遅くなるので能力を使ってから触れて離れると無傷でニトロ箱だけを爆破できる。
●緑色の仮面
最後に見つける仮面。二重人格。
重力を反転させる能力を持つ。重力が変わるのはクラッシュだけで、天井に張り付いた箱が落ちてきたりなんかはしない。
2回まで連続で能力を使うことができ、反重力で上に飛んでから重力を戻して行きたい場所に着地するなんて高度な操作が要求される。
・やりこみ要素
クラッシュバンディクーは簡悔精神全開の鬼畜難易度に目が行きがちですがやりこみ要素も充実しています。
ボス以外のステージはいつものようにダイヤを取得できます。
箱の全破壊の他にステージ中のリンゴ取得数(総取得の40%、60%、80%を取得)、死亡数を一定回数までにクリア、隠しダイヤの6個、あべこべモードを含め1ステージで12個取得できます。
ダイヤはクラッシュとココの衣装の追加に関わります。ちなみに衣装による性能の変化はなく、有料DLCでの販売はなしと公式から発表されています。
ちなみに本作でもタイムアタックは健在です。
・マルチプレイ対応
当時クラッシュバンディクーで育った大人たちは友達と「死んだら交代な」と言って一緒にプレイしたことがある人は結構いるはず。本作はなんと機能としてマルチプレイが実装されています。(オンライン非対応)
チェックポイントまでの到達時間、または箱を壊した数で競うことができます。一緒に遊べる人がいたら盛り上がること間違いなし?
・総評
ナンバリングタイトルどころか、シリーズ全体で見ても最大のボリュームと難易度を誇り、シリーズの再興と呼ぶにふさわしいと思います。あまりの難易度の高さで軽い気持ちでこのゲームに挑むと負の感情が湧き出るのでプレイする場合はそれ相応の覚悟で望みましょう。
問題点を上げるなら、クラッシュ、ココ以外のキャラは狙いをつける要素があるがそれらをアシストする機能はないため狙いにくい。そこまで正確なエイムは求められないが3のリンゴバズーカーみたいに足を止めてでも狙いをつける手段は欲しかった。
新要素である着地地点のマーカー表示は実は落とし穴があり、マーカーが表示されるのは判定が行われる地点。どういうことかというと、下が落下死になる奈落の場合、マーカーの見える位置が落下死判定が起こるところに表示され、見えるところにマーカーが表示されない。
マーカー頼りに位置を調整しようともそれをさせてくれない場所が多々見受けられる。
画面横から見る横スクロールエリアの場合、ご丁寧に横から視認しにくいマーカーが地形に丁寧に表示されるため使い物にならなかったりする。
不満点こそあるが、かなりのボリュームの死にゲーとしては出来がいいと思います。
とにかく難しいゲームを遊びたいならいかかでしょうか。